こんにちは。
大阪府池田市の北摂ライフサポート動物病院院長の久保です。
本日は診察でもよくご相談を受ける『急な食欲低下』についてお話ししたいと思います。
犬が急にごはんを食べなくなると、
「体調が悪いのでは?」と心配になる飼い主さんも多いのではないでしょうか。
犬の食欲不振は、
一時的な体調の変化やストレスで起こることもありますが、
病気が原因となっている場合もあります。
この記事では獣医師が
- 犬がごはんを食べない主な原因
- 元気がある場合は様子を見ていいのか
- 動物病院を受診する目安
について解説します。
犬がごはんを食べない主な原因
犬がごはんを食べない原因はさまざまですが、主に次のようなものが考えられます。
消化器のトラブル
犬の食欲不振で最も多い原因の一つが、胃腸の不調です。
例えば
- 胃腸炎
- 異物誤食
- 消化不良
- 腸内環境の乱れ
などが原因となることがあります。
軽度な場合には、一時的な食欲低下のみで収束していくこともありますが、
胃腸の不調が食欲低下からはじまり、嘔吐や下痢軟便といった消化器症状に発展するケースもあります。
ストレスや環境の変化
犬は環境の変化に敏感な動物です。
例えば
- 引っ越し
- 来客
- 家族構成の変化
- 留守番時間の変化
- 気温の寒暖差
などがストレスとなり、一時的に食欲が落ちることがあります。
ストレスに伴う犬の食欲低下は、人が重要な試験や発表を前に食事が喉を通らなくなるような状態と同様です。
ただし、環境要因のストレスが起因となっておなかをこわし、炎症が広がる場合には嘔吐や下痢軟便を伴う「胃腸炎」に発展する可能性もあります。
フードの問題
食事に関する原因も少なくありません。
例えば
- フードを急に変更した
- フードが古くなって酸化している
- おやつを食べすぎている
- フードに飽きている
などが考えられます。
食べ過ぎや食べなれないものが原因となって不快感をまねくと食欲低下が見られることもありますが、
消化不良を起こすと、嘔吐や下痢軟便を伴う「胃腸炎」に発展する可能性もあります。
犬がごはんを食べないけど元気はある場合
犬がごはんを食べなくても、元気で水を飲めている場合は、
- フードに飽きている
- おやつを食べすぎている
- 軽いストレス
などの病的ではない要因が関連する可能性も考えられます。
ただし
- 丸1日ほとんど食べない
- 元気がなくなる
- 嘔吐や下痢軟便が表面化する
- 排便・排尿の色調異常が見られる
- 誤食が関連している可能性がある
- 体重減少が見られる
といった場合には、病的な要因が絡む可能性も否定できないため、受診を検討する目安となります。
犬がおやつは食べるのにごはんを食べない原因
おやつは食べるのにフードを食べない場合、
- フードの好み
- わがまま食べ
- フードの劣化
などが原因のことがあります。
普段から食べムラが見られる子の場合には判断が難しいこともありますが、
普段食欲が旺盛にも関わらず食欲低下が見られる場合には、より病的な要因との関連が心配されます。
食事以外の原因として
- 歯周病
- 痛みの潜在
などが関連する場合もあります。
病的ではない場合には、体重減少を伴わないことがほとんどです。
年齢によって原因が異なることも
犬がごはんを食べない原因は、年齢によって傾向が異なることがあります。
子犬がごはんを食べない原因
- 低血糖
- 寄生虫感染
- ウイルス感染症
- 異物誤食 など
特に生後半年以下の子犬では体力の余力が少ないため、
ちょっとした食欲低下や嘔吐下痢でも低血糖を起こす危険があります。
食欲不振が続く場合は早めの受診が大切です。
成犬がごはんを食べない原因
- 胃腸炎
- ストレス
- フードの問題
- 歯周病や口腔トラブル
- 誤食
- 免疫疾患 など
シニア犬がごはんを食べない原因
- 腎臓病
- 肝疾患
- 免疫疾患
- 慢性疾患
- 腫瘍 など
食欲不振の原因としてよくある病気
上述のように犬の食欲不振の背景には、さまざまな病気が隠れていることがあります。
消化器疾患
- 胃腸炎
- 異物誤食
内分泌疾患
- クッシング症候群
- アジソン病
- 糖尿病
腫瘍
動物病院の受診を検討する目安
犬がごはんを食べない場合でも、普段通り元気があり、他に心配な症状がない場合には様子を見ることもあります。
お家でできる対処療法
嗅覚を刺激すると食欲がわきやすいので
- フードを人肌程度にあたためる
- フードをお湯でふやかす
- ウェットフードを混ぜる
といった対応でフードの香りを立てることが効果的です。
一方で
- 普段食べなれないものを与える
- おやつをたくさん与える
といった対応は消化管に負荷をかける可能性があるため、おすすめできません。
受診目安
以下のような症状がある場合は早めの受診をおすすめします。
- 元気がない、ぐったりしている
- 嘔吐や下痢軟便がある
- 水も飲まない
- お腹や体が痛そう
- 呼吸が荒い
- 24時間以上ほとんど食べない
- 普段の半分以下の食欲が2〜3日続く
- 体重減少が見られる
- 食欲のムラが繰り返し見られる
特に子犬やシニア犬では早めの受診が重要です。
検査・治療方法
年齢によってアプローチが変わることもありますが、
エコー検査で胃腸の動きや異物・腫瘍の有無を確認したり、レントゲンで異物の有無や液体貯留・ガスの程度を評価するといった画像検査が有効となることが多いです。
また、内臓疾患や内分泌疾患、免疫疾患の有無や胃腸の炎症の程度の評価には血液検査の併用が検討されます。
食欲についてお困りの場合には、お気軽にご相談ください。